家庭医療専門医の伊藤院長による医療コラム 連載第1回 「何科に行けばいいの?」と迷ったら、まずは家庭医へ

皆さんは体調が悪いとき、
「頭痛だから脳外科」「花粉症だから耳鼻科」「肩が痛いから整形外科」
といったように、自分で受診する診療科を選んでいませんか?
もちろん、多くの場合それで問題ありません。
しかし、実は“その判断が難しいケース”も少なくないのです。

意外と多い「症状」と「原因」のズレ

たとえば、

  • 頭痛だと思っていたら副鼻腔炎が原因だった。
  • めまいで脳の病気を疑ったら、実は耳の病気だった。
  • 足のむくみの背景に腎臓病が隠れていた。
  • 膝の痛みが痛風によるもので、尿酸値を下げる治療が必要だった。
  • 腹痛は胃腸炎だと思っていたら、帯状疱疹による神経の痛みだった。
  • 皮疹の原因が、内科で処方された薬の副作用だった。

こうしたケースは、日々の診療の中でも珍しくありません。
「症状=受診すべき科」とは限らないのが、医療の難しいところです。

「この症状は何科に行けばいいのだろう?」
「『うちの科ではない』と言われてしまった」
そんな経験はありませんか?

また、
「胃の痛みはA医院、血圧はBクリニック、鼻炎はC医院」
というように、症状ごとに医療機関を分けて通っている方も多いのではないでしょうか。
特に複数の不調がある場合、その都度「どの科に行くべきか」を自分で判断するのは、負担が大きいだけでなく、適切な診断の遅れにつながることもあります。

こうしたときに力を発揮するのが、総合診療医、いわゆる“家庭医”です。

家庭医は臓器とらわれず、体全体を総合的に診ることを専門としています。
海外では「家庭医(Family Physician)」「総合医(General Practitioner)」として広く知られています。
症状、病歴、生活背景を踏まえて原因を考え、必要に応じて適切な治療を行います
また、専門的な検査や治療が必要と判断した場合は専門医へ紹介します。
いわば“医療の入口”としての役割を担っています。

さらに家庭医は、「病気を治す」だけでなく、「病気を防ぐ」ことも大切にします。
予防接種や健康診断の相談、生活習慣の見直しなど、予防医療にも幅広く関わります。
「これって病気なのかわからない」
「こんなこと相談していいのだろうか」
といった段階でも気軽に相談できるのが特徴です。

その結果、無駄な受診の重複を減らし、結果として医療費や待ち時間の軽減にもつながります。
患者さんにとって、より負担の少ない医療と言えるでしょう。

「まずはどこに相談すればいいかわからない」
そんなときこそ、家庭医に相談してみてください。
あなたの体を“全体として”診る家庭医が、きっと道しるべになってくれるはずです。

伊藤 真次
筆者プロフィール
院長

伊藤 真次 (ITO Shinji) 医師

神奈川県出身/東北大医学医学部 卒業

資格
  • 日本内科学会 認定内科医
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 プライマリ・ケア認定医・指導医
  • 日本老年医学会 老年専門医・指導医
  • 米国家庭医療学会 家庭医療専門医
  • 米国家庭医療学会 老年科専門医