家庭医療専門医の伊藤院長による医療コラム 連載第2回 赤ちゃんからお年寄りまで。家族まるごと診る医療とは?

「我が家のかかりつけ医」として家庭医の役割

疾患によっては、年齢で専門科が分けられていることがあります。
「子どもはここでは診られません」
「大人と子どもは別々に受診してください」
そんなふうに言われて、困った経験はありませんか?
実はこのような場面でも力を発揮するのが、家庭医=“我が家のかかりつけ医”です。

家庭医は、乳幼児から高齢者まで、家族全員を一つのクリニックで診ることができます。
同じクリニック・かかりつけ医が家族を診療することで、得られるメリットは多くあります。

  • 家族で「共有される生活習慣」に気づける
  • ライフステージの変化に伴う体調の変化を支えられる
  • 世代を超えて受け継がれる健康課題に対応できる

などがあります。 具体的には、

  • 子供の喘息が悪化していた背景に、同居する祖父の喫煙があった。
    → 子供の治療と同時に、祖父の禁煙支援を始めた。
  • 認知症の親を介護する娘にストレスが溜まっている。
    → 親の症状を調整しながら、介護している娘の体調や気持ちをケアした。
  • 育ち盛りの子供がいる家庭で、父親と祖父が糖尿病だった。
    → 家族全体の食事バランスを見直し、母親と一緒に無理のない工夫を考えた。
  • 患者の母親が大腸癌を患っていることが分かった。
    → 息子にも生活習慣の見直しやがん検診を強く勧めた
  • 乳児と授乳中の母親が同時に発熱した。
    一緒に診察して、その場で治療を開始した。

病気は、一人ひとりの問題のようでいて、実は「家族の中の出来事」として起きていることも少なくありません。
生活習慣、ストレス、介護や子育て。
こうした背景を含めて診ることで、本当の原因に近づきやすくなります。
家族を診るからこそ見えることがあるのです。

「誰に相談したらいいかわからないとき」
「家族のことも含めて相談したいとき」
そんなときに思い出していただきたいのが、家庭医=“我が家のかかりつけ医”です。

伊藤 真次
筆者プロフィール
院長

伊藤 真次 (ITO Shinji) 医師

神奈川県出身/東北大医学医学部 卒業

資格
  • 日本内科学会 認定内科医
  • 日本プライマリ・ケア連合学会 プライマリ・ケア認定医・指導医
  • 日本老年医学会 老年専門医・指導医
  • 米国家庭医療学会 家庭医療専門医
  • 米国家庭医療学会 老年科専門医